小学生の勉強で大事なことは、教科書内容で理解できないところや本人が避けたがる分野が出てきたら、なるべく早めにそこの部分を克服することです。
とりわけ算数においては一つ分からなくなると学校の授業がだんだん理解できなくなってきます。その単元が終わったとしても、その単元を基礎にして次の学年で少し進んだ内容を勉強したりします。その時にお手上げ状態となってしまうと、中学生になってから大変な苦労をしないとみんなに追いつけない、平均点をなかなか超えられないということになりかねません。
もう一つ、小学生の勉強で大事なことは、なぜ勉強するのか、考えることです。
勉強が嫌いなのであれば無理にしなくてもよいとは思います。しかし、 もったいないと私は思うのです。例えば最初は算数が嫌いでも人に教わったりしてやっていくうちにだんだん好きになり、数学も好きになれば筋道を立てて考える力が自然と身につき、自分の考えを上手に相手に伝えることができるようになって、自分の人生が豊かになることもあります。勉強を避けることで思わぬ機会損失を被る、ということは自分の可能性やチャンスを狭くすることでもあると思います。小学生のうちは3年後、10年後の自分のことなどなかなか想像できるものではありません。3日後くらいのことならギリギリ考えているかも知れませんが、せいぜいそんなものです。だからこそ、今、楽しみたい、今が良ければいい、というような思考回路になってきます。
私がこれまでに勉強嫌いな子と交わしてきた会話はこのような感じです。
「よく使う漢字が書けないまま大人になると、苦しい思いするよ」と言うと「別にそれでいいし」と返ってきます。
「大人になったときに、こんなことも分からないんですか?と、年下の人から言われるかもしれないよ」と言うと「言われてもいいの」、こんな感じです。
結局、勉強が嫌いな子は、その子が1mmでも興味が持てる内容から広げていくのが一番です。いきなり学校の進度に合わせようとするとアレルギー反応しか起こしません。地図記号の◎が市役所を表すことに関心が向いたらそこから話を進めればそのうちこちらからの「なぜこの世の中には色んな地図があるんだと思う?」という質問に対して、自分の頭で考えて「こうだからじゃないの」と返ってくるようになります。
最初に目指すところは、やりたくないことをやれるようにすることよりも、自分の頭で考えられる範囲・可動域を広げる、考えられる限界を大きくしてあげることの方が大事だと考えています。
考えられる範囲が広くなっていくと、自分の頭を使って答えられることも増えてきて、違う分野のことも頑張れるきっかけになったりします。そうなってきたら一つ一つ避けてきた分野にチャレンジして中学の準備に入りたいところです。
小学生のうちから「なぜ、勉強するのか」を時々考えてもらうとよいと思います。そうすると、3年生のときとは違う答えが4年生になってから、4年生のときとは違う答えが5年生になってから聞けるようになるかも知れません。